反転恐怖症の方へ。正面の顔を描く時に大事なこと
正面の顔はそもそもとても難しい
正面の絵はプロでも難しいと言われています。
紙や画面を反転すると、まるで違った絵になってしまったという話はよく聞きます。反転恐怖症という言葉が生まれるほどこの現象は馴染み深いです。
実はこれはプロにも当てはまります。プロのアニメーターや漫画家でも反転した絵は意外と崩れているものです。
天下の鳥山明の絵でさえ、反転するとそれなりに崩れます。
どうです?反転すると多少なりとも印象は変わりませんか?
彼のスーパーアニメーター本田雄氏でさえ、正面の絵は難しいと雑誌のインタビューで答えています。
正面顔は崩れて当然!恐れないこと
一流のプロでさえ、正面の顔は崩さずに描くのは至難の技なのです。
ともすれば、一流のプロでさえ難しいものを、我々一般人が反転して崩れることを極度に恐れているのはバカバカしいと思いませんか?
そもそも、絵を反転して見る人などいないのだから普通に見た時におかしく見えなければそれでいいのです。
それに、「正面顔は崩れて当然。」といった気持ち描いたほうが絵は描くのが楽しくなります。
恐れるあまり書き控えるのは上達の妨げにしかなりません。趣味の絵であれば楽しんで描くのが一番です。
それでも正面の絵をなるべく崩さずに描くコツ
正面の顔の絵は崩れて当然!
という前提を元に、それでもやっぱりできるだけ崩さずに描きたいという思いは絵描きであれば当然の思いです。
そこで、なるべく崩れないように描くコツ、押さえるべきポイントを整理します。
耳や目を平行に
反転した時にガラッと崩れて見えるのは、左右の非対称さが原因です。
反転した時に崩れないようにするためには、耳や目など、左右に存在するパーツをできるだけ平行に保つことが大事です。
また耳や目だけでなく、漫画の絵の輪郭線によくある、エラの部分から顎にかけて、いわば将棋の駒を逆さにしたような形の逆三角の部分の始点も平行に保つとより良くなります。
正中線からの幅にも気を遣う
正中線とは、簡単にいうと体の中央を縦に通る線のことです。真ん中で分割した線ですね。
ここからの距離、幅が左右で均等か、ということも反転しても崩れないような絵を描く時には大切になります。
左右で幅が違うと、反転した時に絵がいびつになって見えます。
寸分違わず崩したくない!反転しても絶対に崩れない最終手段
以上2つのコツを紹介しましたが、人間がフリーハンドで描いている絵ですからそれでもやっぱり多少崩れてしまいます。
そもそも人間の顔自体が正確には左右対称ではありません。多少違っていいのですが、神経質な人は一寸違わず崩したくないという思いの方もいるでしょう。
そこでとるべき方法は反転コピペです。
デジタルでペイントソフトを使用している場合は、この方法で簡単に左右対象の絵が描けます。
左右どちらか半分だけの顔を描いておいて、できあがったらコピーし反転して貼り付けます。
これなら反転しても絶対に崩れない正面顔が出来上がります。
また、CLIP STUDIO PAINT EXであれば、対称定規という機能があるのでさらに簡単に左右対称の絵を描くことができます。
アナログの場合は紙を2つ折りにする
デジタルの場合はコピペで対応できますが、アナログの場合は紙を2つ折りにすることで同じことができます。
2つ折りにした中央線のところから半分だけ顔を描いてもう半分は、2つ折りに戻して光で透かして描き上げます。
まとめ
大事なのは、「そこまでする必要があるのか?」ということです。
妥協点を探りましょう。
余談
余談ですが、私はアニメーター時代に、他のプロが描く正面顔をいろいろ研究していて、とあるアニメのOPで反転してもまったく崩れない正面顔に出会ったことがあります。
それがおねがい☆ティーチャーのOPです。
今見てもまったく崩れていませんね。DLしてソフトで反転させてみてください。
紙を2つ折りにして描いたのかなあ。と当時いろいろ考えてました。答えは知りませんが。